こんな症状の方へ
インピンジメント症候群
インピンジメント症候群とは、肩関節の内側の慢性的な障害や外傷による痛みや症状のことを言います。
インピンジメントとは『ぶつかる』という意味になります。つまり『ぶつかり症候群=挟まれ症候群』。
これは四十肩・五十肩に非常に似てます。というより、四十肩・五十肩の一部と考えてもいいです。
慢性化すると関節が変性して骨のトゲ(=骨棘)が形成され、より挟み込みが起こりやすくなります。
- ○ 肩甲骨と上腕骨の間にできる非常に狭い空間を、肩の筋肉が通るため構造的にもともと弱い。
- ○ さらにこの部分の血管供給が弱く、少しでも挟まれると血液が十分供給されず損傷を受けやすい。
挟まれなくても10分~15分間、腕を肩より上に挙げると血液供給が途絶えてしまう。
このような構造のため、腕を上に挙げると、この空間がさらに狭くなり、ここを通る筋肉が挟まれます。
一般的には、棘上筋腱か上腕二頭筋腱が損傷を受けやすく、挟まれて炎症が起こると棘上筋腱炎や上腕二頭筋腱炎に移行するためインピンジメント症候群との区別は曖昧である。
同時に、この部分の血管供給が低下して虚血状態になって組織が損傷しやすくなります。
挟まれると損傷して炎症がおこり、修復過程で組織が肥厚します。
するとますますこの空間が狭くなり、組織の損傷が進むのです。そしてまた・・・
とくり返されるのです。
- <インピンジメント症候群の3ステージ>
- ステージ1 浮腫・出血
- ステージ2 線維化・腱炎
- ステージ3 骨棘・腱の断裂
- インピンジメント症候群では、『挟み込み』と『虚血状態』がおこるので上記のステージが、必ずしもこの順序で起こるとは限りません。
初期の段階では痛みを気にしないことが多いが、痛みが徐々に悪化してきて治療に訪れます。
- ○ 日常生活・仕事・スポーツで腕を肩より上に挙げる動作をする人に多い。
(天井のペンキ塗り・配線工事・内装業・テニスなど) - ○ 親指を下にして45度斜め前で腕を下から上に挙げていくと、肩のあたりに鋭い痛みがある。
(80度~120度) - ○ ひどくなると痛みのために、肩の高さより上に腕を挙げることができないことがある。
- ○ 肩と腕の関節の隙間を触ると、強い痛みを感じることがある。
- ○ 四十肩・五十肩とメカニズムが似ていて厳密には区別できない。
原因 | 肩より上に腕を挙げる動作が多い 長時間かけて徐々に発症する |
症状 | 腕が肩より上に挙がらない 挙げようとすると鋭く痛い 内旋と水平内転が特に制限される |
悪化要因 | 長時間腕を肩より上に挙げること 何度もくりかえしそのような動作をすること |
軽減要因 | 安静。しかし炎症のあとに動かさないでいると癒着が進み、ますます症状が悪化していくので注意が必要 |
痛みの特徴 | 鋭く痛い 炎症がおきると肩全体が痛くなる |
カイロプラクティック治療 (インピンジメント症候群)
インピンジメント症候群は、肩のところで筋肉が挟まれることでおこる症状のことを言います。
挟み込みが慢性化すると、炎症によって筋肉の腱が肥厚してきます。
すると、ますます挟み込みが起こりやすくなるので、症状がさらに悪化します。
このくりかえしがおこると、症状が徐々に悪化していくのが分かると思います。
詳しくは上記を参照してください。
この肩甲骨と上腕骨の間には、次のような解剖学的特徴があり、すぐに損傷しやすい部分です。
○ 構造的に挟み込みが起こりやすい
○ この部分の筋肉への血管供給が乏しい
では、インピンジメント症候群のカイロプラクティック治療はどのようになるのでしょうか?
- <炎症がおきているときのインピンジメント症候群治療>
- 炎症を抑えることが最優先されます。
炎症が長引くと、それだけ組織が損傷するので、それだけ腱の肥厚がおこります。
- <炎症がおきていないときのインピンジメント症候群治療>
- 脊椎と上肢の関節が、適切に機能するように動きと、動きの方向を整えていきます。
できるだけ『挟み込み』がおこらないようにし、筋肉の柔軟性を高めていき、挟まれてもある程度は耐えられるようにしていきます。
慢性化して筋肉が萎縮している場合は、筋肉に対するトレーニングをしていきます。
物理療法(冷却療法・超音波療法・干渉波療法・温熱療法など)を選択して、アジャストメントやモビリゼーションだけでなく、より効果的におこなっていきます。
また、自宅でのエクササイズの指導もおこなっていきます。
可能な限り、正常な可動域いっぱいに肩を動かすことが重要になっていきます。
最低でも6ヶ月間、保存療法を試みても回復が見られない場合は、最終手段として外科的手術を考慮する必要がでてきます。
どのくらいの間隔で、何回くらい通えばいいのだろう?と気になる方はこちらをどうぞ!